2017.九州バスキュラーアクセスフォーラム

開催概要

日時 2017年9月10日(日)12:30~16:30
会場 【メイン会場】
(熊本)熊本赤十字病院 403多目的ホール
(福岡)JR博多シティ会議室【サテライト会場】
(北九州)KMMビル 第一会議室
(大分)ホルトホール大分 303会議室
(佐賀)サンシティ会議室 5階Aホール
(長崎)ホテルセントヒル長崎 出島の間
(宮崎)宮崎グリーンホテル 大会議室
(鹿児島)天文館ビジョンホール 6Fホール

スケジュール

●12:30~12:35
開会式
会長 宮田 昭先生(熊本赤十字病院 副院長 腎臓内科部長)

●12:35~13:15(40分)
① エコーガイド下PTAライブ:吻合部通過テクニック
【座長】
池田 潔先生(池田バスキュラーアクセス・透析・内科 院長)
【演者】
春口 洋昭先生 (飯田橋春口クリニック 院長)
安田 透先生 (池田バスキュラーアクセス・透析・内科 副院長)
【共催:株式会社カネカメディックス】

●13:15~13:45(30分)
② AVF作製後のトラブルを回避するために!!
【座長】
副島 一晃先生(済生会熊本病院 腎・泌尿器センター 腎臓科部長)
【演者】
大川 博永先生(大川バスキュラーアクセス・腎クリニック 院長)
【共催:ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社】

●13:45~14:15(30分)
③ AVG作製術
【座長】
望月 保志先生(長崎大学病院 血液浄化療法部 准教授)
【演者】
江口 大彦先生(福岡市民病院 血管外科 科長)
【共催:日本ゴア株式会社】

●14:15~14:55(40分)
④ 教育講演  低流量内シャントの検討
【座長】
宮田 昭先生(熊本赤十字病院  副院長兼腎臓内科部長)
【演者】
中村 智宏先生(洛和会音羽記念病院 副院長)
【共催:株式会社グッドマン】

●14:55-15:05(10分)
休憩

●15:05~15:25(20分)
⑤ バスキュラーアクセス・3ヵ月開存のための方策  ~加圧式VAマッサージ(以下、PVM)~
【座長】
四枝 英樹先生(原三信病院 腎臓内科部長)
【演者】
川原田 貴士先生(池田バスキュラーアクセス・透析・内科 透析室室長 臨床工学技士)

●15:25~15:45(20分)
⑥ 当院のPD外来患者指導 ~熊本地震を経験して~
【座長】
福田 誠先生(佐賀大学医学部附属病院 腎臓内科 助教)
【演者】
城間 久美絵先生(熊本赤十字病院腎センター 透析認定看護師)
【共催:日機装株式会社】

●15:45~16:05(20分)
⑦ シャント評価標準化のためのマッピング法
【座長】
椛島 成利先生(ひびきクリニック 院長)
【演者】
德田 勝哉先生(南風病院 透析室看護師長)
【共催:ニプロ株式会社】

●16:05~16:25(20分)
⑧ BCMの使い方
【座長】
西 一彦先生(熊本大学医学部附属病院 泌尿器科准教授兼血液浄化療法部部長)
【演者】
安田 透先生(池田バスキュラーアクセス・透析・内科 副院長)

●16:25~16:30
閉会挨拶
事務局長 池田 潔 先生(池田バスキュラーアクセス・透析・内科 院長)

大会当日に掲示板に寄せられた質問への回答

①エコーガイド下PTAライブ:吻合部通過テクニック  春口 洋昭先生

(投稿者)宮崎会場
(質問)吻合部のターンのため動脈末梢を手で外部から抑えてガイドワイヤーが末梢に行かないようにしてはいけないのでしょうか?
(回答)
それでも良いと思いますが、エコーを行いながら外部から抑えるとガイドワイヤーの描出が困難なことも多く、当院では外部からの圧迫は行っておりません。


(投稿者)拡張中のモヤモヤエコーについて
(質問)時に長時間拡張する際には血栓形成しないかどうか気になるので、血流遮断している部分をポンピングしたりするのですが、春口先生はいかがでしょうか。
(回答)
2分程度の拡張時間であれば、血栓形成の危険は少ないので特にポンピングしません。


(投稿者)エコーガイド下PTA  福岡会場より参加者
(質問)年間1400例の内、人工血管の割合はどのくらいですか? 素材によってはエコーしにくいなど違いはいかがでしょうか?
(回答)
20%ぐらいだと思います。
ポリウレタン製のグラフトはエコーで内部が見えにくいため、PTFEグラフトと比べてややエコー下PTAはしにくいことがあります。


(投稿者)鹿児島
(質問)PTA後に閉塞する患者様がいました。2回別部位やって2回とも。ヘパリンの量は2500単位が妥当なのでしょうか?
(回答)
2500単位が妥当であるか否かは、エビデンスがないためわかりません。2回ともPTA後に閉塞したのであれば、抗凝固薬以外の原因の方が考えやすいと思います。


(投稿者)熊本会場
(質問)デクランプ直後の静脈狭窄は、一時的なスパスムということはないでしょうか?
(回答)
一般的なスパスムのことも多いです。中枢側を駆血して狭窄が解除されればスパスムと考えてよいと思います。


(投稿者)匿名希望
(質問)エコーは、盲検下に行われたのでしょうか?
前後比較なので、コントロール群があるとより効果が、立証されるのではないでしょうか?
(回答)
コントロール郡とは造影下でのPTAということでしょうか。もちろん2郡に分けて成績を比べるのがよいと思います。当院では、ほぼすべてのPTAをエコーガイド下で行い、約97%の初期成功率がありますので、同等と考えます。長期成績を比べた報告はないように思います。

②AVF作製後のトラブルを回避するために!!  大川 博永先生

(投稿者)熊本会場
(質問)静脈表面膜の剥離の肉眼的目安は?
(回答)
肉眼的には、膜による線状のくびれを目安にしています。触診上でスリルの変化(大きくなる部位)で肉眼的に表面膜が不明な場合、生理食塩水で洗浄しますと膜が見えてくると思います。


(投稿者)熊本会場
(質問)皮膚切開がかなり小さいですが、動脈静脈のマーキングと切開を始める位置の目安を教えてください
(回答)
術前に動静脈のマーキングを行う際に、動脈は手掌部を上に向け、静脈は拇指を上に向ける位置でマーキングを行います。皮膚の切開線は動静脈のマーキングを行った線の間で、線から2~3mm程度離して切開線のマーキングを行っています。また、静脈を動脈側に移動させる必要があるため、静脈(末梢)~動脈(中枢)に向かう皮膚割線に沿った斜切開になるようにしています。


(投稿者)大分
(質問)創部が小さいですね。後半にタバコ窩内シャントの発表がありますが、先生の前腕に作るか、タバコに作るかの決定因子は何でしょうか。
(回答)
年齢にもよると思いますが、若年者では極力タバコ窩から作成するようにしています。高齢者の方では、手関節部の動静脈が離れている方はタバコ窩での作成を考慮しています。距離が近ければ、手関節部で作成しているケースが多いと思います。


(投稿者)背側枝の結紮について
(質問)橈側皮静脈に背側枝がありましたが、結紮はしないのですか?
(回答)
基本的に背側枝の結紮はしておりません。背側枝に流れていると、尺側皮静脈に流れ、将来的に尺側でのAVF作成が可能になると考えているからです。背側枝部分で狭窄がみられることも多くありますが、原因としては背側枝より末梢でAVFを作成した際に、静脈を引っ張って吻合した結果のしわよせが背側枝の部位にきていると考えています。後々に背側枝の部位の狭窄が取れない場合は、将来的に結紮切離をすることで対応が可能ですので、初回作成時に結紮することは不利になると考えています。

③AVG作製術 江口 大彦先生

(投稿者)鹿児島
(質問)当院では早期穿刺型グラフトの術後~半年程度の血腫形成や感染率が非常に高いのですが、やはり手技的な問題でしょうか?術中に注意する点などがあればご教授お願いします。
(回答)
術後早期の血腫形成や感染率について
術後早期の感染の原因は、
① 術中清潔操作の破綻
② 創離開などの創トラブルが原因と考えられます。
①については、清潔操作の見直しと、手術が3時間を超えるようであればルーチンで手袋を交換するなどの対策が考えられます。
②については、第一には皮膚の脆弱性とグラフトの太さを考えてグラフトのデザインを考えることが重要で、例えば上腕であれば、どんなに皮膚が脆弱な方でもグラフトによる張力で皮膚が離開したことはありませんが、皮膚が脆弱な方の前腕に径6mmのグラフト(特に外径が太いアキュシール)を挿入した場合、皮膚が離開することがあります。ほかに一般的な注意点としては、創を愛護的に縫合するか、創とグラフトの距離を離す、などの工夫が重要です。

また、血腫形成についてですが、PUグラフトの場合は周囲組織との癒着が比較的早くおこりますが、アキュシールにの場合、グラフトそのもの止血性は良くても周囲組織との癒着が起きにくいため穿刺後の止血の位置が悪いと容易に血腫を形成しますので、注意が必要です。


(投稿者)熊本会場
(質問)肘関節でグラフトがkinkしないための工夫はありますか
(回答)
グラフトを皮下に通す場合の一般的な注意点としては、ループのデザインに対して遠心性に(トンネラーを外側に振りだすように)十分テンションをかけながら留置することが重要です。特にPUグラフトでループの頂点部分が鋭角になってしまうと、早期閉塞の原因となります。アキュシールや通常のPTFEは、ほぼUターンで折り返しても基本的にkinkしませんので、あまり心配はないでしょう。特に肘関節部はグラフトがまっすぐ通過するのでkinkの心配はありません。


(投稿者)北九州
(質問)CV6は使用しないのでしょうか。
(回答)
アキュシールグラフトではCVスーチャーである必要はありません。
通常の6-0ポリプロピレン糸で容易に止血できます。
また我々は通常のPTFEグラフトを静脈に縫合する際には7-0ポリプロピレン糸を使用していまが、7-0ポリプロピレン糸とCV6(針9mm弱弯糸針比1:1)で感覚的に止血に差があると感じませんし、そのようなエビデンス(?)もありません。
CV6は高価ですし、一度見直しをされてはいかがでしょうか(最終的には好みの問題ですが)?


(投稿者)熊本会場
(質問)静脈麻酔はプレセデックスですか?
(回答)
その通りです。プレセデックスをルーチンで使用していました。
ただ最近は、腋窩ブロックを行った症例ではプレセデックスほどの静脈麻酔薬は必要なさそうなので、ミダゾラムを5分の1~2分の1アンプル使用しているのみです。
プレセデックスは鎮静効果は高いのですが、ご存知のように副作用として除脈と低血圧が出ます。
そして、透析患者ではこの除脈と低血圧が遷延する傾向があり、時に術後数日間、昇圧剤の持続投与が必要となる場合があり、注意が必要です。
局所麻酔のみであれば不十分でしょうが、腋窩ブロックを行えばかなりの範囲が無痛域となりますのでミダゾラム単独の使用でほとんど全身麻酔同様の鎮静が得られます。

④教育講演:低流量内シャントの検討 中村 智宏先生

(投稿者)熊本会場
(質問)心機能低下例では手首ではなく、タバコ窩吻合にするというイメージでいいですか?
(回答)
動脈と静脈の条件がよければ、タバコ窩吻合の方がbetterと考えます。今までタバコ窩で吻合した症例で術後早期の死亡、心不全の増悪はありませんでした。


(投稿者)大分
(質問)リコイル型の狭窄は対象になりませんか?
(回答)
申し訳ありませんが、質問の意図することがわかりません。心機能低下症例で安易にシャントPTAを行い、翌日までに心不全の増悪で死亡した症例があります。


(投稿者)心機能低下例 鹿児島加治木温泉病院
(質問)PDの選択肢はないのでしょうか?
(回答)
もちろんあると思います。ただ当院ではできる限りHD管理を望まれる患者さんが多く、あえて行っているだけで、中にHDからPDに変更した症例もあります。

⑥当院のPD外来患者指導~熊本地震を経験して~ 城間 久美絵先生

(投稿者)熊本会場
(質問)なぜ地震後一ヶ月頃から合併症が増えたのでしょうか?
(回答)
今回の熊本地震では、水が長期にわたって出なかったため清潔が保てず、感染症などの合併症が1か月を過ぎたあたりから増えてしまいました。また、食事の面でも配給の食事やカップラーメンなどの塩分の多い食事を摂取しており、体重管理や食事管理ができずに心不全などの合併症が増えたのではないかと思います。


(投稿者)宮崎会場
(質問)病院からのみで統一したとのことですが、患者さんは納得して頂けたのでしょうか?緊急時はどうしても電話したくなるのではないかと思うのですが。
(回答)
当院は基幹病院であり、地震発生時は電話が使えないほどいろいろなところから電話がかかってきました。患者さんに連絡をとる場合でも、病院の電話はつながらず、個人の携帯を使用するしか手立てがありませんでした。そのため、緊急時は病院の方から連絡をとるようにし、なるべく患者さんからは電話はしないように統一しました。どうしても電話をかけなければならない場合はかけてもらってもよいようにしてますが、患者さんからは実際に熊本地震の時は電話をかけても繋がらなかったと言われています。

⑧BCMの使い方 安田 透先生

(投稿者)熊本会場
(質問)価格をご存知でしたら教えてください。
(回答)定価200万円です。


(投稿者)熊本会場
(質問)測定頻度はどのくらいですか?
(回答)
ケースバイケースになります。
よくある測定頻度は2か月に1度くらいでしょうか。
患者さんによっては月に2回とることもあれば、患者さんによっては1年近く空く場合もあります。
DWが分からなくなった時に使う、あるいはDWを変更した後に確認のために使う、という感じです。


(投稿者)鹿児島会場
(質問)どんな患者さんでも使えそうですか?心機能は?IVCの基準はどう考えていますか?
(回答)
使えない患者さんは腹水、胸水が貯留している方、人工関節などの重い人工物が体内にある方、アンプタして両側対称ではない方、などです。
BCM自体は心機能を加味してくれません。
ですから心機能低下症例においては、計算された理想DWに医師の匙加減を加えて判断するしかありません。理想-1.5kg、-2.0kgに厳しめに設定するという形になります。
透析患者さんのIVCは健常人に比べて低めの10-15㎜程度が多い印象です。


(投稿者)熊本会場
(質問)BCMがかなり妥当な数値を示すという症例は、ざっくりと全体の何割くらいですか?
(回答)8割程度は妥当、という印象をもっています。


(投稿者)福岡
(質問)BCMでおおよそのDWを決めるとのことでしたが、起立性低血圧などを有する患者さんに対しも同様のことが言えるのでしょうか?
(回答)
起立性低血圧患者さんにおいては、甘めに設定します。
通常私どもの施設では理想±1.0kgを理想ゾーンとしています。
起立性低血圧などを有する患者さんの場合は、理想DWよりも+2.0kgを許容することもあります。BCMのデータより患者さんの臨床症状や所見を優先します。
BCMはあくまで参考値として考えます。


(投稿者)熊本会場
(質問)DWは、どのくらいの間隔で上げ下げを行なったうえで胸部レントゲン、BCMを行なったんですか?
(回答)
短い間隔であれば2週間程度でレントゲン、BCMを再評価するケースはあります。
通常であれば1か月~2か月程度の間隔をあけて再評価することが多いです。


(投稿者)匿名希望
(質問)DM腎症患者でのBCMは使えそうですか?
(回答)使えそうです。


(投稿者)宮崎会場
(質問)除水の速度について毎回0.5kgずつドライウェイトを落としているのですか?
(回答)
ケースバイケースになります。
0.5kgはよく使う幅です。
0.2-0.3kgの微調節をするケースもあります。
1.0kg上げる、下げる、の指示も良く出しますが1回の透析で調節できない(患者さんが調節したくない)ケースもありますので1週間で、あるいは2週間で1.0kg上げる、下げる、というケースもあります。


(投稿者)福岡会場
(質問)BCMでおよそのドライウェイトを決めるとのことでしたが、起立性低血圧などを有する患者さんに対しても同様のドライの選定でよろしいのでしょうか?
(回答)
起立性低血圧を有する患者さんに対しては若干の匙加減を加える必要があります。
起立性低血圧がひどい場合は、通常の設定になります理想DW±1.0kgをはみ出して、理想DW+2.0kgで設定する(せざるを得ない)場合もあります。
患者さんの臨床症状と所見を優先してDWを決めていきます。
患者さんのBCMの経過をみていると患者さんそれぞれの傾向が分かってきます。
Aさんという患者さんは理想DW+1.0kgが快適な生活を送れる、Bさんという患者さんは理想DW-0.5kgが快適である、という具合です。


(投稿者)福岡会場より参加者
(質問)右左で差異のあるような患者では?(閉塞による浮腫、アンプタなど)
(回答)
残念ながら参考になりません。
基本的には左右対称である、ことがBCMの前提になります。
もしもやるとするならば、右半身でBCMを測定し、左半身でもBCMを測定し平均すると理想DWが計算できるのかもしれませんが、そこまではやっておりません。


(投稿者)oita
(質問)DWの過小、過大については、まさに医療従事者にとって非常に大切な仕事だと思います。しかし、それ以上に、なぜオーバーになっていたのか、なぜ食欲が低下したのか、
シャント過剰血流になっていないのか、心機能が低下しているのか、運動量が落ちてはいないのか、齲歯はなど、その背景要因の検索と同定が、より大切ではないかと個人的には思います。
(回答)
おっしゃる通りです。
なぜDWがずれてきているのかその背景要因の検索と同定が大切です。

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